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機械加工2021年9月4日

ミッションケースのベアリング部修正

ミッションケース 農業機械

トラックなどの車両を適切なトルクと速度で走らせるために重要なミッションですが、内部には何本ものシャフトやギア、ベアリングなどの数多くの部品が使用されています。

 

中でもミッション全体を覆うケースは、鋳鉄製の大きな部品であり、何らかの破損や摩耗があっても簡単に交換を行うことができません。

 

また、鋳鉄製であるという構造上、溶接などによる肉盛りは難しく、さらに修正が必要な部分が奥の刃物などの届きにくい場所にあることも多いため、修理はより一層困難になります。

 

当社ではこのような大型でかつ修正箇所までの距離があるような加工において、横中ぐり盤によるスリーブ入れ加工を行っております。

 

今回修理依頼のあったミッションケースです。

 

大型で、かつ地方からの依頼ということもあり、パレットに載った状態での入庫となりました。

 

 

真ん中にあるのがテーパーローラーベアリングのアウターレースです。

 

ミッションケース本体にこのアウターレースがはまり込み、シャフトを固定しているはずなのですが、ケース側が摩耗して広がってしまい、がたつきが発生していました。

 

 

写真中央の白で×印のつけられているところが今回の修正箇所となります。

 

穴の奥側にはスナップリングが入るための溝が切られているため、その部分は生かしたまま、手前側のみ横中ぐり盤で削って穴を大きくしてあります。

 

この後、旋盤にて鋳鉄製の薄いスリーブを製作し、圧入します。

 

 

スリーブの圧入の様子です。

 

多少の締め代はありますが、万一にも抜けることがないよう、ロックタイトを塗布して圧入します。

穴に対してまっすぐに圧入できるよう、治具を使い細心の注意をはらいながらの作業です。

 

======狭い場所での作業となるため、時間をかけて慎重に行います。======

 

 

作業箇所が奥にあるため見えにくいですが、無事にスリーブの挿入が完了しました。

 

 

旋盤での製作時に圧入による変形を見越して寸法を仕上げてあるため、

圧入後の追加工は必要ありません。

 

ベアリングの挿入などはお客様の方で行うとのことなので、今回の作業は以上となります。