機械加工2022年10月25日
ギヤ当たり面の摩耗部修正
今回ご紹介する事例ですが、まずは当社へ入庫した際の状況を見ていただくのが一番早いかと思います。
こちらはキャタピラーのC18という大型エンジンのクラッチハウジングの一部の写真です。
写真中央に見えている穴はアイドルギアのシャフトが入る部分なのですが、
ご覧の通りアイドルギアの端面がこすれることによって摩耗してしまっています。
こちらは先ほどの相手側に当たるアイドルギアの拡大写真ですが、
当たり面に異物が焼き付いてしまっているのが見えるかと思います。
なんらかの原因でこの異物による齧りが発生し、
クラッチハウジング本体を摩耗させてしまったものと思われます。
このままではアイドルギアのがたつきが多くなってしまいますが、
かといって部品交換をするにしても費用と納期の問題もありますし、
そもそも部品そのものが手に入るかもわかりません。
そのため、今回はリン青銅のプレートを作ったうえで、それをビス止めすることにしました。
まずはこのような形で一回り大きく摩耗した部分を削ります。
さらに、プレートを固定するための穴もあけてあります。
潤滑用のオイルのラインが複数あるため、そこに干渉しないように気を付けながら作業を進めます。
こちらが、新しく取り付けるプレートですが、耐久性と焼き付き防止の観点から、
素材はリン青銅を使用し当社で製作しております。
もともと高価な材料ですが、様々な部材の価格が上昇しているこのご時世、
相応に値段も跳ね上がっていました。
溝が複数切ってあるのは、潤滑用のオイルの通る溝です。
もともとは左右に二か所でしたが、溝幅と深さが変わるため、本数を増やしてあります。
こちらはプレートの固定に使うビスです。
ギアが摩耗しないように、真鍮製の皿ビスを使うことにしました。
プレートを取り付けたら、再度機械加工を行い、本来の高さになるまで研削します。
最後に、元々純正で支給されているブッシュを圧入して、作業は完了です。
エンジン回りの補修は気を遣う部分が多いですが、無事に形にすることができました。
郵送でもご対応いたしますので是非一度ご連絡ください。