機械加工2022年4月5日
油圧シリンダーの修理とNFCタグ
当社の業務の一つに、油圧シリンダーの修理があります。
ユンボやタイヤショベルなどの建機はもちろん、トラックのウィングやリアゲート、
トラクターのフロントローダーなど、様々な機械の動作を行っているのが、作動油の
圧力によって伸縮する油圧シリンダーです。
油圧シリンダーの代表的な故障は油漏れですが、他にもロットの曲がりやシリンダー内部の
錆など、様々な理由での修理を行っております。
今回依頼のあったシリンダーは、欧州製の農機具に取り付けられていたものです。
ロットが大きく曲がってしまっており、修正不可能なため、製作しなおすことになりますが、
それ自体はそれほど難しいことではありません。
問題は、油圧シールです。
アメリカでは寸法の規格はインチが基準となっているため、そもそも修理が困難ですが、
ヨーロッパはミリ規格を採用している場合が多いため、一見国産部品でも対応可能に見えます。
しかし、実際には、国内で一般的に流通している汎用のシールとは微妙に寸法が異なったり、
規格にないものを使用している場合があります。
もちろん、メーカー純正の部品を取り寄せれば問題ないのでしょうが、海外手配で時間がかかったり、
そもそもどこのメーカーの製品なのかわからなかったりという場合が多く、
なかなか手に入りません。
そうした場合、当社では、国産の規格に合わせる形で部品を改造することによって対応しております。
上の写真の下段は今回のシリンダーでもともと使われていたシールですが、
今回は上段の国産のシールを使用することにしました。
とはいえ、ほとんどのシールは改造なしでそのまま取り付け可能で、唯一、
ダストシールの取付部のみ、加工が必要となります。
シリンダーのヘッドを削って、国産シールを取り付け可能にした状態です。
純正のシールキットに頼らず、社外のシールの規格を把握した上でそれぞれの
シリンダーに合わせてシールを選定する、当社のやり方ならではの対応方法かと思います。
もちろん手間はかかりますが、仕入れのコストなども大幅に軽減されるため、
質の高いサービスを低価格でご提供可能です!
また、後日再修理などが必要になった場合にも、手に入りやすい国産のシールが利用可能なため、
スピーディに修理を進めることができます。
シールの組付けが終わったら、組み立て作業となります。
様々な構造の油圧シリンダーが存在するため、必要な場合には専用治具を
製作する場合もありますが、今回の物は既存の治具で対応可能でした。
組み立てが完了しました。
基本的な作業は以上で終わりですが、最後に、当社でのもう一つの取り組みがあります。
油圧シリンダーの邪魔にならない部分に、このようなNFCタグを取り付けさせていただいております。
この中には、当社の連絡先とともに、当社での管理番号が記録されているため、
修理時期や、使われているシールなどのデータ、修理内容などがすぐに把握可能です。
通常であれば油圧シリンダーを取り外していただいた上で、いったん当社で分解した上での
お見積りとなりますが、このように一度入庫してタグが取り付けられていれば、
現車にとりついたままでも概算のお見積りが可能となります。
油圧シリンダー関連でお困りの際には、ぜひともまず一度、ご相談ください。