機械加工2022年8月10日
DPFマフラーのボルト折れ込み抜き取り
当社では昨年よりDPFマフラーの洗浄を行っておりますが、おかげさまで数多くのご依頼をいただき、
定番作業の一つとして軌道に乗っております。
誠に、ありがとうございます。
さて、DPFマフラーにはもう一つ厄介な問題があります。
それは、マフラーの組み立てに使用されているスタッドボルトが抜けず、折れてしまうというものです。
写真を見ていただくとわかると思いますが、DPFマフラーの周囲のボルトが、
すべて折れてしまっています。
反対側も同様な構造になっていますので、合計16本のボルトが折れている計算になります。
そもそもDPFというのはざっくりいうと排気ガス中のススを回収し、定期的に高温で燃焼させる
という装置ですから、頻繁に高温にさらされることになります。
マフラー本体も取付けボルトも、ある程度は熱に耐えられるような材質を使用しているのでしょうが、
やはり物理的なダメージが大きく、ボルト本体がもろくなったり、ボルトとマフラーが熱で
癒着したりしてしまいます。
なんらかの衝撃などによって折れてしまったボルトなどは折れた先端部分にナットなどを
溶接してみたり、ドリルで穴を開けてエキストラクターなどの特殊工具を使用したりすれば
比較的簡単に抜けるのですが、熱で変質した上に固着してしまっているDPFマフラーのボルトは
そんなものでは外れてくれません。
結果としてこのようなボルトを抜き取る方法としては、
『穴を開けて削り取る』というのが最も確実な方法となります。
削り取ればいい、というのは言葉にすると簡単ですが、実際の作業としてはなかなか手間がかかります。
機械に対して折れているボルトをまっすぐ正面に固定した上で、
様々な太さのドリルやエンドミルなどを駆使して少しずつ削り取っていきます。
写真中央にあるのが、見本の新品のスタッドボルトです。
ボルトの中心にある程度の大きさの穴を開けた後は、先端のとがった特殊工具や、
タップなどを使って、DPFマフラー本体にへばりついているボルトの破片を取り除いていきます
写真左に写っているタップは折れてしまっていますが、ほんの少しの力加減でこのような状態に
なってしまうため、作業は慎重に時間をかけて行います。
何とかこちらのボルトは取り除くことができましたが、写真に写っていない部分には
まだまだ折れたボルトが残っています……
なお、ボルトを取り除いても本体のねじ山が破損してしまっている場合もありますので、
その際にはリコイルを入れてねじ山を再生する必要があります。
今回の作業時間は7時間ということで、ほぼ丸一日かかりましたが、
無事にすべてのボルトを取り除き、新しいボルトで組み上げることができました。
またDPFマフラーに関わらず、様々なボルトの折れ込み修理・ボルトリペア・ネジ山修理を
行っております。是非ご相談ください!