エンジン2022年12月6日
グロープラグ折れ込み抜き
ディーゼルエンジンの始動の際、冷え切っている燃焼室を温め、
燃料の爆発する環境を作るために機能している部品がグロープラグです。
昔ながらのディーゼルエンジンの場合、セルモーターを回して始動する前に
予熱をする手順があると思いますが、その時に動作しています。
一般的に細長い形状をしており、電気配線を取り付ける都合上、
エンジンの外側に一部が露出している場合もあるのですが、錆や焼き付きなどによって
固着してしまい、無理に抜こうとすると折れてしまうことが良くあります。
写真の赤で印をつけている部分が折れ込んでしまったグロープラグです。
外側に見えているのはごく一部で、横に並べてあるように非常に細長い部品のため、
大部分が残ってしまっています。
ちなみに、露出している部分が六角になっているため、
回せば外せそうに見えるかもしれませんが、ねじ山の手前で折れてしまっているため、
このまま回しても空回りしてしまいます。
必ずしもすべてのグロープラグが折れやすいというわけではなく、エンジンの構造上、
頻繁に折れ込みが発生する形式があり、今回のキャタピラのエンジンもその一つです。
グロープラグの周辺に水気を帯びたごみなどが溜まりやすく、さびて固着してしまうことが
良くあります。エンジンに対して斜めに入っていることが多く、形状も細長いので、
電動ドリルなどで削る形での折れ込み抜きは困難です。
また、グロープラグのところから燃焼ガスが抜けてしまわないよう、
斜めになったシート面が作られているのですが、万一にもこの部分を傷つけてしまうと
シリンダーヘッド全体を交換する必要があります。
大きく赤で印をつけているのが、芯出しのための専用治具です。
折れずに抜けた他のグロープラグ穴にねじ込むことで、折れ込んだ部分にまっすぐに
穴を開けられるように向きを調整するための目安としています。
実際に削る際にもNCフライス盤を使用し、少しずつ、まっすぐ、慎重に削り抜いていきます。
シリンダーヘッド本体にダメージを与えずに、きれいに抜き取ることが出来ました。
通常のボルトの折れ込み抜きに比べ、正確な芯出しや細長い穴開けが必要だったり、
非常に硬い材質が使われていたり、予燃焼室があるためにチャンバーの抜取りが必要だったりと、
エンジンに応じて非常に手間がかかるため、ご依頼いただいても少々お時間がかかることは
ご了承いただければと思います。
また、精度や、切粉の落下などの問題があるため、現車のままでの作業は不可能となっていますので、
必ずシリンダーヘッド単品にする必要があることもご理解ください。
是非一度ご相談ください、お電話お待ちしております。